長く5ヵ国体制で活動を行ってきたBRICSが新たに6ヵ国を加えて11ヵ国体制に
BRICSは、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5カ国による経済連携団体です。
当初は4ヵ国でしたが、2011年に南アフリカが首脳会議に参加し、BRICSとなりました。
元々、ブラジル、ロシア、インド、中国をG7に次ぐ経済圏として、2001年に“BRIC“として投資家向けレポートに登場したのが始まりとされています。
4ヵ国による最初の首脳会議は2009年に開催。
●気になるBRICSの経済規模
2トップのインドと中国が抜きんでているため、BRICSの経済規模は2014年の時点でG7に肉薄しています。
ロシアの経済規模も悪くはないのですが、韓国と同程度ということで、インドや中国と比べると見劣りすることは否めません。
一方で、インド・中国とも人口が多く、一人当たりのGDPは依然見劣りしている状態です。
BRICSの5ヵ国とも、人口が多く、何よりも資源大国であることが強みといっていいでしょう。
そして、勘違いされがちなのですが、BRICSは同盟や共同体ではないということです。
それでも、定期的な首脳会談などを開催して結束を強めており、そこで発する共同宣言などは常に世界から注目されています。
国土面積では、合計が世界の29.2%、人口に至っては42.7%と巨大であり、BRICSの結束は決して無視できるものではありません。
特にG7と比べて天然資源の保有量は圧倒的と言っていいでしょう。
人口が多いので一人当たりの資源量は決して多くはありませんが、石炭・鉄鉱石・天然ガスが豊富で、原油・ボーキサイトなどもほとんどの国で産出されています。
●拡大BRICSとは
緩やかな経済的互助会といった趣のBRICSは、G4に近い組織と言えます。
G4を簡単に説明すると、構成国は日本・ドイツ・インド・ブラジルであり、“国際連合安全保障理事会改革”において、目的を同じにしている国々です。
その目的というのが、国際連合安全保障理事会常任理事国入りです。
単に“常任理事国”と呼ばれています。
常に機能不全に陥る常任理事会において、改革を求める国連内での共同体です。
いずれも緩やかな組織ではあったのですが、BRICSのほうに動きがありました。
2023年8月24日、BRICSに新たに、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、エジプト、ナイジェリア、セネガル、カザフスタンの6か国が加盟したのです。
正式な加盟は2024年1月1日からとしています。
BRICSの拡大はこれにとどまらず、さらに拡大する可能性があるとされています。
というのも、各BRICS首脳が外相ら対外担当部署に対して、BRICSパートナー候補国のリスト作成を命じたというのです。
これによって、今後BRICSがさらに拡大する可能性が指摘されています。
といっても、現行のBRICSは必ずしも一枚岩ではありません。
もともと強固な集まりではないのですから当然ですが、まず中国とインドの仲が悪いのです。
これは、今に始まったことではありません。
ブラジルは中国にもインドにも寄り添う日和見状態、ロシアはウクライナ問題もあって中国よりです。
南アフリカは中国から多大な支援を受けており、中国派といってもいいでしょう
インドが四面楚歌のような状況となっていますが、リーダー格とも言える中国は経済成長の失速が著しく、すでにバブルは弾けたとされています。
ロシアはウクライナ問題を抱えており、ブラジルも巨額な経済赤字に悩まされています。
南アフリカはアフリカ大陸内では地域大国としての位置づけですが、経済規模はBRICSの中では小さく、中国の経済援助を受けている状況です。
BRICSでは「中国vsインド」の構図ができあがっており、インドはこれからも人口増と経済成長が見込まれているのが強みであり、なによりも全世界の非同盟国の盟主という位置づけがBRICS拡大にものを言いそうです。
●そもそもBRICSの目的は?
BRICSの主な目的は、経済協力、開発、国際問題への影響力です。
G20がありますが、G7にロシアと中国が加入するケースはないでしょう。
ブラジルとインドについては、時間がかかりそうです。
インドは可能性がなくもないですが、非同盟・中立の立場から難しそうです。
BRICSの存在意義は、経済協力と開発資金調達が大きな目的です。
影響力は小さくなったとはいえG7の力は強大であり、国際通貨をドルが握っているのが大きいとされています。
そのため、元やルーブルが国際通貨になることは難しいというよりも、信用の面で不可能です。
旧共産圏ということで、物資の流れも制限されているなかで、経済協力及び資金調達できるBRICSのような第2の軸は必要不可欠といっていいでしょう。
そういった部分にBRICSの存在意義があるのは間違いありません。
また、これからの飛躍が望める国をBRICSに招き入れる姿勢はしたたかとも言えます。
特に、中東の有力な産油国であるサウジアラビアとアラブ首長国連邦が加入するのは大きな成果と言えるでしょう。
TPPなどの加入には厳しい条件が付きますが、BRICSにおいての加入に対する障壁は何もありません。
そのため、多くの国がBRICSに加入したい意思表示をしているようです。