BRICS通貨は米ドルを超える?OCAの基準を満たしているのか?
グローバルサウスといった言葉が叫ばれる今、BRICS通貨にも注目が集められています。
BRICS通貨は、米ドルを覇権するといったイメージを持っている方もおり、事実昨今のグローバルサウスの動きを見る限りその挑戦は成功の道を歩んでいると考えている方も多いでしょう。
しかし、ここでひとつ注意しないとならないのが、OCAの条件だと言われています。
BRICS通貨が米ドルを超えるためのポイントになり得るOCAについて考えます。
●OCAとは何か?
そもそも、BRICS通貨が米ドルに変わる世界共通の通貨として君臨するためには、OCAと呼ばれるポイントを満たす必要があると考えられています。
OCAとは、最適通過圏の理論を略した経済用語で、複数の国家間で単一の通貨統合を行う上で必要となる基準理論のことです。
例えば、Aといった単一通貨を複数の国家でド運輸するための通貨統合を行うと考えましょう。
その際、最適な地域的範囲はどこまでであるか、その範囲の基準を決定するための基準値となります。
また、ただその地域全体でその単一通貨Aを持つことで経済的効率が最大化されることが前提であることから、ただ導入することだけの基準ではないところがポイントです。
OCAについては、通貨同盟の経済統合の最終段階となっていることから、これをクリアすることで今後BRICS通貨の動きが大きく変わってくるといった内容になります。
●OCAの条件は難しいか
BRICS通貨が米ドルを超えるためには、まず上記のOCAの条件となる4つを満たしていなければなりません。
まず、この対象国間の産業構造が似ていること、つまり類似性が存在していることが必要です。
そして対象国間の貿易解放度、貿易依存度が高いことも条件となると考えられています。
さらに、精算要素価格の伸縮性や移動性の高さがあることや、そもそも論として対象国間に関して円滑な財政移転が可能になることが挙げられるようです。
これだけを考えると、BRICS通貨におけるグローバルサウスの加盟国も増加傾向にあることから、チャンスは十分にあると考えられています。
しかし、一方でBRICS通貨を導入するのは明らかに難しく、BRICS通貨は明らかにこれら条件を満たせてないといった指摘もあるのです。
近年、グローバルサウスの力が強まっている中、なぜBRICS通貨はOCAの条件が満たすことがdけいないのでしょうか。その理由を考えていきましょう。
●BRICS通貨導入の難しさへの指摘
BRICSとはブラジルとロシア、インド、中国、南アフリカの頭文字を組み合わせた造語であり、これら国家間の単一通貨として考えて導入されようとしているのが、BRICS通貨です。
さて、BRICS通貨を導入する上の条件としてOCAの条件を満たす必要がありますが、まずそのひとつに対象国間の産業構造に類似性が必要になります。
しかし、インドやロシアなど資源の輸入や輸出に大きな差ががあるため、類似性があるかと言われると難しいといった指摘があります。
さらに、労働者が自由に移動できる環境が中国やインド、南アフリカなどで実現するのか、それもかなり疑問視されているのです。
事実、ヨーロッパはユーロを導入した際に大きな金融市場の混乱を招いていたことからも、BRICSも段階的に数々の諸問題を起こすだろうと考えられています。そして、大きな問題と考えられているのが中国の存在です。
対象国間に関する円滑な財政移転ですが、最大の経済圏が財政負担を負う必要がありますが、BRICSに占める中国の経済比較は70%以上と言われているため、BRICS経済における依存度が中国一国に集中してしまうことになるのです。
こうなれば、対象国間に関する円滑な財政移転はほぼ不可能と考えられるのではないでしょうか。
●実現は不明だが期待はされている
BRICS通貨以前、ユーロや円、英ポンドなどさまざまな通貨が単一通貨となり米ドル一強の状況を打破しようとさまざまな施策が試みられました。
しかし、BRICS経済以上にOCAの条件が整っていそうなこれらの地域ですら、未だにうまく行っていないのが実情です。
それが、大陸を超えた飛び地で展開されているBRICS経済圏では、ほとんど不可能に近いと考えられているのが実情にあります。
しかし、一方で米ドルに振り回され続けている新興国の状況を見るに、米ドルが一強といった状況は問題視されているのは確かです。
近年中国のGDPも高まっているほか、BRICSは世界経済の30%を占める力を持ちじめています。
米国の金融政策にいつまでも振り回されているのでは、BRICSを含めた新興国にとってはおもしろくないのは当然でしょう。
●まとめ
現段階でOCAの基準を考えるとBRICS通貨導入自体が難しい側面がありますが、それでも別の基準などが出てきた際はBRICS通貨にまた注目が集まることは間違いありません。
BRICS通貨導入が米ドルの覇権へとストップかける日も、案外遠い日の青写真ではない現状がやってくるのではないでしょうか。