通貨評価替え…通貨危機が起こったときの処方箋
通貨評価替えとは名前の通り通過の価値を変更することです。
よく言われるのが、世界通貨改革が行われた後に怒るのが通貨評価替えと言われています。
そうなると気になるのが世界通貨改革です。
まずは、世界通貨改革から説明しなくてはいけないでしょう。
●世界通貨改革とは
お金を交換することで詐欺的な利息が発生する状況を是正する動きが世界通貨改革です。
その是正する動きの一つが通貨評価替えとなります。
そのため、世界通貨改革と通貨評価替えは表裏一体であり、一つのセットとして捉えることができます。
セットとはいっても、かたや是正する動きですから、その動きはまったく別物です。
世界通貨改革を謳う際には、資産の裏付けを「金」に設定する「金本位制」という動きが出てくることもありますが、こういった動きも通貨評価替えと密接につながっているといっていいでしょう。
貴金属である「金」は、世界がどんな状況に陥ってもその評価を変えることはありませんでした。
そのため、「金」の保有量がそのまま国や個人の価値を決めるものとして、世界はこれまで動いてきました。
その動きは文明が始まってこれまで変わらないといっていいでしょう。
通貨改革が起きるわかりやすい事例は「通貨危機」です。
通貨危機で記憶に新しいのが1997年7月に起こったアジア通貨危機でしょう。
これはタイを震源として起こり、アジア各国に伝搬したものです。
このとき、自国通貨の大幅な下落により、多くの国が経済危機に陥りました。
タイやインドネシアの他、韓国にも波及し、この3国はIMFや世界銀行、アジア開発銀行の支援を受けることとなります。
主な対策としては、緊縮財政と高金利政策が大きな柱となりました。
IMFが主導する改革の妥当性は当初から疑問視されたものでしたが、これらの国々において、低インフレによる輸出の拡大が起こり、2年後の1999年にはプラス成長を実現しています。
そもそも、このアジア通貨危機は、発端となるタイの通貨であるバーツが高騰したことです。
米国の金利政策によりバーツは対ドルに対して急落から高騰するなど、乱高下を繰り返します。
実力が伴わないバーツ高によってタイの輸出が伸び悩み、大きな損失を出しながら今度は通貨の急落を招いてしまいます。
この動きが東南アジア各国及び韓国に波及してアジア通貨危機となってしまったのです。
このとき通貨改革も行われましたが、通貨危機から救ったのは、輸入の減少が大きかったと言えます。
というのも、お金がないから輸入ができない。
それでいて、東南アジアの多くは資源国なので輸出だけは堅調に推移。
それが結果として外貨の獲得に貢献し、通貨危機の大きな特効薬となったのです。
もちろん、通貨改革も行われ、小規模ながら通貨評価替えも行われたのですが、それが特効薬になったという評価には至っていません。
とはいっても、東南アジアの当事国だけでは通貨危機を乗り越えることはできず、日本や米国など、さらには世界銀行などの国際機関の支援によって立ち直ったのは間違いないところです。
●通貨評価替えと外国為替市場の関係
通貨評価替えが起こると外国為替市場に多くの影響が出るのは間違いありません。
ただし、外貨準備高の多い先進国やある程度の経済規模を誇る国で起こることは稀です。
G7などの先進国で通貨評価替えが起こるような事態になると、世界恐慌に発展するような大規模な通貨危機が起こるのは間違いのないところでしょう。
そのため、通貨評価替えが起こるのは発展途上国となります。
とはいっても、なんの前触れもなく起こることはありません。
事前対策をしっかりとることでその影響を最小限に抑えることが可能です。
当然ですが、通貨評価替えが行われると為替レートが変動することとなります。
通貨評価替えは国によって影響はまちまちです。
経済規模の小さな国であれば、その影響は甚大でしょう。
また、国だけではなく、個人投資家には大きな影響を与えることになるのは想像に難くありません。
それでも事前の兆候がわかるので、個人投資家であればできるだけ早い段階で資金待避をする必要があります。
●輸出入と通貨評価替え
国家単位での目標は安定的な経済成長です。
自国内で生産したものを自国内で消費し、それで経済成長できれば一番良いのですが、日本のような資源のない国では、資源を輸入して製品を輸出することで成長を続けていかなければなりません。
いわば、良好な貿易が経済成長の大きな要となるのです。
コロナ禍からコロナ明けを迎えた世界各国は、ウクライナ問題や中東問題などあらゆるリスクをはらみ、インフレも進みました。
それでも、金融引き締め政策に走ることなく、通貨評価替えの必要性は低くなったとされています。
突然、通貨評価替えが起こることはなく、仮に起こる兆候があってもそれに対する備えをしっかりすれば、対策は立てやすいと言えます。
起こるとしたら、途上国が発信地となるので先進国に至ってはその影響は受けるにしても軽微と一般的には言われています。