BRICSの将来予想…拡大方針だけどどうなる?結束崩壊!?アルゼンチンは離脱でサウジは…
BRICSは(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国)といった5ヵ国の総称です。2000年代以降著しい経済発展を遂げました。それぞれG20に加入。G7に次ぐ第2極としての存在感を発揮しています。
●2050年にGDPでG7を抜くという予測も…
G7には世界をリードする米国がいるので、BRICSがいくらがんばってもG7を抜くことはないとされていました。しかし、2050年までに中国が米国を抜くという予測があり、それに引っ張られる形で他のBRICS諸国の総生産が上がり、トータルでG7を抜くという予測です。その一方で中国の経済成長の停滞が発覚し、BRICSの成長に陰を落としています。
そのため、ロシア経済も低迷している現在においてBRICSがG7を抜くことはないという予想が大勢を占めています。一方、インドの経済発展が著しく、中国を含めた多くの国で人口の減少が起こっている中、インドはこれからも人口の増加が予想されています。
米国の人口は微増の予測で、これは移民の増大によるものです。インドの経済発展はこれからも順調のようで、停滞する中国を近年のうちに抜くと予測されています。
中国自体も現在において、日本の3倍以上の総生産があり、インドと中国の総生産の増加でG7を抜くのは十分に可能です。さらに、2050年を待たなくても2039年にはG7を抜くという前倒しの予測もあります。現在の日本の経済成長の鈍化を鑑みても、2039年でも遅いような気がします。
●拡大BRICSの勢い
2023年8月22日に南アフリカのヨハネスブルグでBRICS首脳会議が開催。この会議にはBRICS以外に、多くのグローバルサウスの国々が参加しました。その中で6ヵ国がBRICSへの参加を表明したのです。
現在のBRICS5ヵ国でも近い将来G7を抜くと予測されていたのに、さらに6ヵ国が参加することでGDPはさらに上積みされることとなります。このとき参加表明した6ヵ国は以下の通りです。
・アルゼンチン
・エジプト
・エチオピア
・イラン
・サウジアラビア
・UAE=アラブ首長国連邦
いずれもその地域を束ねる地域大国の国々です。過去に先進国であり、先進国の中から唯一後進国になったとされるアルゼンチンも復権をかけてBRICSに参加表明。アフリカからはエジプトとエチオピア、中東からはサウジアラビア、イランとUAE=アラブ首長国連邦。
いずれもこれから伸びしろのある国々です。特筆すべきは中東から3ヵ国が参加を表明していること。ロシアや中国、ブラジル、南アフリカ共和国も資源国であり、レアメタルを含めて、世界で算出される資源の多くを拡大BRICS域内でまかなうことができます。
これは、G7にない優位性といっていいでしょう。拡大BRICSはG7ほどの結束はないという人も少なくありません。歴史を見ても、G7は50年近い実績があります。何よりも民主主義を基軸とする結束の強さがあるのです。
一方の拡大BRICSは利害関係のみで一緒になった感は否めません。さらに、中国の吸引力が大きいのは間違いないでしょう。懸念点としては中国経済の失速です。利害関係のみで集まっている烏合の衆とも言える拡大BRICSですから、中国の失速で簡単に瓦解するリスクも否定できないところです。
一方で、拡大BRICSの中で、急成長が期待されるインドの動向が注目されています。
●アルゼンチンの離脱
1923年の12月にアルゼンチンで政変が起きました。大統領選挙において、新しくミレイ氏が大統領に選出されたのです。前任の大統領が加盟を申請していましたが、ミレイ新大統領はそれを撤回。拡大BRICSはアルゼンチンを除いた10ヵ国で2024年に誕生することになります。
アルゼンチンの大統領選からある程度は予測されていました。元々親米派であったミレイ氏が大統領に選出されると、拡大BRICSの参加を辞退することが予測されていたからです。実際に大統領に選出されてすぐ、ミレイ氏の側近である、モンディノ次期外相が即座に不参加を表明しました。
さらに不確定要素として、サウジアラビアが態度を保留していることがわかります。サウジアラビアといえば、中東諸国をとりまとめる中東の大国です。問題児扱いされるイランともつかず離れずの関係を築き、伝統的に親米であり、中東最大の産油国であることはもちろん、サウジアラビアを拡大BRICSに留めるのは、中国やロシアにとっては至上命題と言えます。
以上のことから、アルゼンチンの離脱はすでに決定事項であり、これを覆すことはできません。そうなれば、次の懸念事項とも言える、サウジアラビアを引き留めることができなければ、追従する形でUAEも離脱、ということにもなりかねません。
サウジアラビアを引き留めることができるかが、拡大BRICSにおいて2024年の最大の課題といっていいでしょう。