【黄金のディナール】中東ではこれから安定通貨としてイラクディナールが見直されるかも!?FX取引でも期待大
イラクディナールを語るとき、“黄金のディナール”と言えば褒めすぎと思う人もいるでしょう。しかし、イラク地域は古くは4大文明の一つであるメソポタミア文明発祥の地です。正確にいえばエジプト文明よりも古く、世界最古の文明でもあるのです。
そのため、“黄金のディナール”というのは決して眉唾なものではなく、イラクの歴史と富と文化の象徴でもあるのです。また、イラクディナールコインは“サンドスタームコイン”とも呼ばれ、イラクの砂漠の風景をモチーフに、風のようにイラクの大地に流通する通貨のイメージも模しているのです。
●黄金のイラクの復権
中東は砂漠のイメージが強く、石油が出なければ世界の最貧困地であったかもしれません。実際に砂漠しかない不毛の地であり、そのため人々の結束を図るためにできたのがイスラム教とも言われています。イスラム教は厳しい戒律で知られていましたが、中でも自由な雰囲気のあるのが、イラクでありお隣のイランでもありました。
中東というとサウジアラビアが盟主のように思われていますが、1970年代初頭まではサウジアラビアとイラクとイランが中東の3巨頭といってもいい存在だったのです。しかし、その後イラン革命が起きて中東情勢が激変します。革命の影響が自国に及ぶことを恐れたイラクがイランに戦争を仕掛けます。
イライラ戦争とも呼ばれ、この戦争は10年続きました。この戦争によってイラクの国力は大きく削がれ、さらに湾岸戦争から同時多発テロ、イラク戦争を経てイラクの国力は大きく衰退。イラクの通貨であるイラクディナールの価値も大きく下落しました。
その後、米国を中心とした多国籍軍の駐留でイラクの治安を維持しながらイラクの復興策がとられました。イランが引き続き米国に敵対する立場である一方でイラクは西側によって復興を続けているのです。
砂しかない中東地域において、イラクには大河が流れています。中東の中でも緑豊かな地域でもあるイラク。さらに石油も産出しているので、中東地域にあって全てが揃っているのがイラクなのです。政策さえ間違えなければ成長については伸びしろしかありません。
そのため、20年を超える経済の停滞はイラクやイラクディナールについて悲劇であったと言えるでしょう。イスラエルに対するガザによるテロなど、きな臭い事態となっている中で、イラクは復興途上。中東危機において防波堤としてのイラクの役割はこれまで以上に大きいといっていいでしょう。同時に米国にとって、イランに対する防波堤といった意味合いもあるのです。
これからは戦禍に巻き込まれることなく、黄金のイラクの復権を目指してほしいものです。
●イラクディナールの目指すところ
イライラ戦争に端を発するように1970年代から2003年に終わるイラク戦争まで、イラクは戦乱に明け暮れました。イラク戦争後もイスラム国の台頭などで、政情が不安定となります。しかし、イスラム国の衰退と引き続き多国籍軍の駐留でイラク経済は安定していきます。
これから、イラクディナールの目指すところは国際通貨レートでの設定でしょう。いまだに国外銀行での両替が行われていません。イラク戦争後も政情が不安定となりテロも頻発、イスラム国の台頭などもありましたが、イスラム国が消滅した以降は政情も安定。念願の国際為替レートに設定されることが待たれます。
●イラクディナールの価値の変動
イラクディナールは国際為替レートに設定はされていませんが、国際送金は可能となっています。しかし、その価値は他の通貨と比較して低いのが現状です。
直近ではイラクディナールの為替レートは安定しており、 1イラクディナール (IQD) は、約 0.112017 日本円 (JPY) に相当。反対に、1日本円 (JPY) は約 8.92725 イラクディナール (IQD) に換算されます。
現状、比較的安定的な値動きを見せているイラクディナールですが、経済的な変動や政治的な出来事によって影響を受けやすい通貨でもあります。それでも、イランの問題やイスラエルとハマスの戦い、米国の空爆など、揺れ動く中東情勢の中で、安定的な値動きをしているイラクディナールに世界中が注目しています。
レートはともかく、その価値が安定しているのはイラクディナールの強みと言えます。理由については比較的イラクの政情が安定していることもあるのですが、一番は石油の産出です。もともと、中東有数の石油産出国であるイラク。イラクの原油生産量はこの10年で飛躍的に増加しました。ある見方では驚異的とも言われています。
脱炭素が世界的に叫ばれている中、電気を作るにも石油が必要な世界の状況において、石油産油国としてのイラクの地位はこれからも安泰といっていいでしょう。そのイラクの通貨であるイラクディナールにはそういった意味でも世界が注目しているのです。