BRICS女性フォーラム!ウクライナ侵攻で苦境に立つロシアが仲間作りに奔走!?
●ロシアがパキスタンのBRICS加盟を支持
9月18日、ロシアのオベルチュク副首相が、ロシアは主要新興国による「BRICS」へのパキスタン加盟を支持すると述べました。
2日にわたってパキスタンのイスラマバードを訪問。
パキスタンのダール外相と共同記者会見を行い、同国の加盟要請について「われわれは支持する」と述べたのです。
BRICSはブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカにちなんで名付けられました。
近年、G7やG20など時代遅れと見なす世界秩序の再編を目指す動きが加速しています。
2023年にはサウジアラビア、イラン、エチオピア、エジプト、アルゼンチン、アラブ首長国連邦(UAE)に加盟を呼びかけたのもその動きの中でのものです。
アルゼンチンは呼びかけに呼応しませんでしたが、イラン、エジプト、アラブ首長国連邦、エチオピアが参加して9ヵ国からなる国際会議となっています。
そしてパキスタンです。
パキスタンは中国やロシアと伝統的に良好な関係を持つ友好国といえます。
一方でインドとは敵対関係にあり、互いに核を保有し領土問題を抱えています。
そのため、インドが加盟を認めるか不透明といっていいでしょう。
パキスタン外務省報道官は記者会見で「パキスタンは国際協力の推進と、包括的な多国間主義の活性化に重要な役割を果たせる」と述べています。
インドとパキスタンは、犬猿の仲と言ってもいい間柄。
しかも両国とも核保有国です、
インドのモディ首相は9月16日、ゴア州で主催した新興5か国「BRICS」首脳会議の席で、名指しこそはしませんでしたが、暗にパキスタンを指して、南アジアの「テロリズムの母艦」と表現。
BRICSは団結して立ち向かうべきだと各国指導者に要請したのです。
このとき、「われわれの地域ではテロリズムが平和、治安、発展に重大な脅威を及ぼしている。悲しいことに、テロリズムの母艦はインドの隣国だ」と発言しています。
さらに「この母艦に、世界中のテロ分子が結びついている。その国はテロリストを保護しているばかりか、そうした思考を育てている。政治的利益のためならばテロリズムは正当化されると声高に宣言する思考だ」と述べたのです。
そして、中国、インド、ロシア、ブラジル、南アフリカのBRICS5か国はこれを強烈に批判すべきだと訴えました。
世界的なニュースにならないほど、インドとパキスタンは日常的に衝突を繰り返しています。
その中でも、8月にインド軍の基地がパキスタンの過激派組織に襲撃され兵士19人が死亡した事件がありました。
それ以降、モディ首相は隣国パキスタンを孤立化させようとする動きを強めているのです。
そのため、ロシアがいくらパキスタンのBRICS加盟を支持してもインドが首を縦に振ることはなく、仮にロシアと中国がごり押しすることで、BRICS自体の結束が損なわれることにもなりかねません。
一方で、インドと中国も国境紛争などで小競り合いが続いており、それを考えるとパキスタンがBRICSに加盟することは紛争を抑止する意味でも由とする声があるのも事実です。
BRICSの一角を占める中国は、ロシアと同様にパキスタンと良好な関係を築いています。
パキスタン国内で複数のインフラ建設事業を手掛けていることも好材料であり、さらにロシアはパキスタンとの軍事協力を強化しようとしています。
●BRICS女性フォーラムでは北朝鮮と接触
北朝鮮の崔善姫外相がロシアのサンクトペテルブルクで開催される「第4回ユーラシア女性フォーラム」と「BRICS女性フォーラム」に出席しました。
遡って、「マツェゴラ・ロシア大使が平壌国際空港で崔外相を見送った」とロシアの交流サイト「フコンタクテ」に投稿しています。
ユーラシア女性フォーラムは9月18─20日に開催され、BRICS女性フォーラムは最終日に開かれました。
フォーラムには約100カ国の代表団が参加。
ロシアのプーチン大統領は過去のフォーラムに出席しています。
ロシアのラブロフ外相は9月17日、モスクワで北朝鮮の崔善姫外相と会談しました。
ロシア外務省によると、両外相は2024年6月のロ朝首脳会談でプーチン大統領と金正恩朝鮮労働党総書記が合意した包括的戦略パートナーシップ関係に沿った両国関係の発展について意見交換。
崔氏は今年1月の訪ロ時にはプーチン氏と会談しましたが、ペスコフ大統領報道官によると、今回は会談予定はないとのことでした。
いずれにしても、将来的に北朝鮮もBRICSに加盟するといったことがあるかもしれません。
これは、孤立化を深める北朝鮮にとって渡りに船の状態であるのは間違いないでしょう。
●BRICSとトルコの微妙な立ち位置
トルコ大統領、多面外交推進の意向、欧米協調も継続。
トルコのエルドアン大統領は9月18日、トルコは欧米の西側諸国と引き続き協調すると改めて強調。
さらに、主要新興国による「BRICS」や地域協力組織「上海協力機構(SCO)」などとも多面的な外交路線により関係強化を進めていくと表明しました。
北大西洋条約機構(NATO)加盟国のトルコはここ数ヵ月、中国とロシアを含むBRICSやSCOへの参加に関心を示しているとされています。
米国や欧州では、トルコが否定しているにもかかわらず、伝統的に西側寄りの外交姿勢から転換するのではないかとの懸念が出ているのです。
エルドアン大統領はアンカラでのイベントで、「軸足のシフト」を巡る議論には根拠がないとしています。
これはNATO重視を示唆したものですが、あまりにも回りくどい言い方です。
そして、トルコは経済や生産、技術の分野で形成されつつある新たな「力の中心」に対応する必要があると指摘。
あらゆる枠組みや当事者に対して開かれた姿勢を保つべきだとも述べているのです。
エルドアン大統領は「それがSCOやBRICS、東南アジア諸国連合(ASEAN)など、トルコが対話の基盤を拡大しようとする意向の背景にあるアプローチだ」と語っています。
「顔は西側に向いているが、これは決して東に背を向ける、東を無視する、あるいは東との関係を改善しないということではない」とも言及しているのです。
NATO加盟国であるトルコがBRICSに加盟するようなことになれば、世界情勢の中でも大きな火種となることは間違いありません。
今後のトルコの動向に注目が集まっています。
一方で、ロシアにしてみれば、トルコをBRICSに参加させることができれば、パキスタンや北朝鮮のBRICS参加以上の大きな力になることは間違いないでしょう。