社会貢献型投資,人道支援の実例,資産を活かした寄付戦略
1.なぜ“今”新興国なのか

IMF の World Economic Outlook(2025 年 4 月版)は、新興国・途上国の 2025 年実質成長率を 4.2% と予測しています。先進国の 1.8% を大きく上回り、特にインドは 6%台半ば、ASEAN 要のインドネシアやフィリピンは 4〜5% が見込まれます。若年人口の厚み、スマホ普及に伴うデジタル・ジャンプが“長い追い風”として働く一方、ドル高や政治リスク、気候ショックも抱えており、「高成長=ハイリスク」の構図をどう乗りこなすかが投資家のテーマです。
2.注目エリアをざっくり整理

① 消費が伸びる国
-
インド:中間層が 4 億人規模へ拡大。電力・通信インフラ整備と EC の爆発的伸びが内需を押し上げています。
-
インドネシア:若年人口が過半を占め、最低賃金の引き上げで可処分所得が増加。モバイル決済が急拡大中。
② 資源と脱炭素の合わせ技が光る国
-
ブラジル:バイオ燃料と再エネに政策資金が流入。食料・鉱物資源も持つ“複合強国”。
-
チリ:リチウムと銅の世界的供給源。EV 需要の伸びを追い風に、鉱業ロイヤルティ政策が焦点。
③ デジタル金融が加速する国
-
ナイジェリア:モバイルマネー利用者が成人の 50%超。スタートアップ資金が集まりやすい反面、外貨調達の壁に注意。
-
ケニア:M‑Pesa に代表されるモバイル送金が生活インフラ化。政府規制と外資制限のアップデートを常にチェック。
共通リスク:①ドル建て債務の金利負担、②選挙イヤーの資本規制、③洪水・干ばつなど気候ショック。これらは国をまたいで投資を分散することでしか抑えにくい点を忘れずに。
3.社会貢献型投資を組み込む三つの方法
-
ソーシャルボンド
-
世界銀行やアフリカ開銀が発行。利回りは同格の国債+0.3〜0.7%。教育・医療などのプロジェクトが資金使途。
-
-
マイクロファイナンスファンド
-
10 万円程度から参加でき、零細事業者に少額融資。返済率は 97〜98%が多いが、流動性は低い。
-
-
利息・配当の定期寄付
-
得たキャッシュフローの 10〜20%を NGO へ。寄付控除で税負担も軽減。相場急落時は比率を柔軟に調整。
-
4.人道支援の実例

-
EIB のウクライナ避難民住宅再建債:利回り 3.1%、調達資金で 5,000 戸を整備。避難民 1.6 万人が恩恵。
-
バングラデシュ女性起業家マイクロローン:100 ドルから投資可。返済率 98%、平均年商 32%増を達成。
数字で成果を追える仕組みは、投資家の「社会的リターン」を実感させるうえで大きなモチベーションになります。
5.資産を活かす寄付戦略──三層モデル

-
キャッシュ層:生活費 6〜12 か月分を円・外貨預金に置き、非常時の流動性を確保。
-
インカム層:先進国債+新興国社債で利息を得て、年間利息の 10〜15%を寄付。
-
グロース&インパクト層:新興国株 ETF とソーシャルボンド、マイクロファイナンスを合計 15%程度に抑え、半年に一度リバランス。
6.ケーススタディ

神奈川県在住の 55 歳 B 氏は、インド国債 ETF(年利回り 6%)へ 500 万円投資し、年間利息 30 万円を確保。そのうち 15%(4.5 万円)をカンボジアの給食支援に寄付し、300 人分の昼食を提供できたという報告を受けました。「口座残高と社会インパクトの両方が増える喜びは、純粋な値上がり益以上だ」と語ります。
まとめ
-
新興国は高成長だがハイリスク。地域・資産クラスを分散して投資するのが基本。
-
ソーシャルボンドやマイクロファイナンスを組み込み、“二重のリターン”(経済+社会)を狙う。
-
ポートフォリオは「キャッシュ・インカム・インパクト」の三層で管理し、半年ごとに見直す。
結論:リターンだけでなく社会的価値を重ねることで、投資は「資産形成 × 社会課題解決」の両輪へ。新興国の成長エネルギーを味方につけつつ、あなた自身の志を資本という形で世界に循環させてみてはいかがでしょうか。
(あくまで個人の見解ですので、情報の活用や真偽については自己判断でお願いします)
注
1)資産防衛NOTE ~人道支援への道~ さんから許可をもらって投稿しています。