通貨評価替えは“世界通貨改革”とセットで考えるとわかりやすい
RVという言葉を新聞紙上などで見かけることがあります。
必ず括弧書きがあって、RVは「Revaluation of Values(通貨評価替え)」のことです。
RVという言葉が出ると、まるでセットのようにGCRという言葉も出て来ます。
GCRとは「Global Currency Reset(世界通貨改革)」の略のこと。
GCRは、通貨発行権者が有利になっている通貨システムを是正しようとする改革のことです。
●通貨発行権者とは?
まず、通貨発行権者を説明します。
発行権者と書くと、難しく感じますが、文字通り、「通貨の発行権を持つ者」という意味です。
ほとんどの国では統治している政府がこれにあたります。
厳密に言うと、日本では政府ではなく中央銀行である日本銀行が発行する銀行券です。
国によっては政府が直接発行している紙幣もあります。
いずれにしても法定通貨としての価値があり、市場に通用力が与えられた紙幣です。
家庭であれば、財布を握っている主婦が一番強く、会社で言えば、経理会計を牛耳っている部署が強いでしょう。
規模の大小があっても、お金を握っているところが権力を握ります。
それが、国単位となるとその権力は強大となり、その権力者が通貨発行権者(中央銀行または政府)となるのです。
●RVとGCRの違い
RVは、先述したとおり通貨評価替えを意味します。
GCRは世界通貨改革ですね。
そして、通貨発行権者です。
通貨発行権者が強大な力を持っていることを説明しました。
考えてみたら当然と言えば当然なのですが、この強大な権力を是正しようとする動きがGCRなのです。
出る杭は打たれる構図ですね。
そして、RVとGCRの違いを説明する前に、RVについて説明しなくてはいけません。
まず、RVを先に語ると難しくなるのですが、『GCRをするためにRVを行う』と言い換えると、それが全てになります。
もっと端的に言うと、GCR(世界通貨改革)に伴って行われる通貨の価値の再評価です。
FXに詳しい人ならわかると思いますが、為替レートは常に変動します。
世界情勢や経済情勢によって大きく変動することがあるのです。
それでも、ドルやユーロ、円、英ポンドなどは、世界4大基軸通貨として君臨しています。
かつ強大でもあるのです。
●GCR(世界通貨改革)を提唱しているのはどこ?
具体的にGCRを進めているのはどういった国なのでしょうか。
これは具体的な国ではなく、国際機関といったほうがいいでしょう。
特に世界蔵相会議でも話題に出ることがあります。
そういったところでは、国のほとんどがユーロ圏や米国、日本で占められているので、改革の声が弱いのは事実です。
そのため、そういった声があがるのは特定の国をあげれば中国やインド、ロシアなどの新興勢力といっていいでしょう。
特にロシアはウクライナ問題などで、世界から制裁を受けています。
ドルの保有残高が目減りしているのに加え、ルーブル建ての取引が禁止されているので、貿易に関してはかなり苦境に立たされているといっていいでしょう。
もちろん、ルーブルも弱くなっているため、貿易でもかなりの赤字を出しているのは想像に難くありません。
それを考えると、制裁の解除はもちろん、GCRによるRV(通貨評価替え)を訴えるのは当然と言えます。
ただし、ルーブルの現状は厳しく、RVを行うことで現状よりもさらなる価値の低下をもたらすとされています。
つまりは、限りなく紙切れ同然になるということですね。
中国についても同様のことが言われており、経済苦境に陥った元の強さもかなり弱くなったのは間違いないでしょう。
それでは、RVを行うことで得をするのはどういった国なのでしょうか。
現在では、第2グループの中での成長株と目されているのがインドです。
GDPも近いうちにドイツや日本を抜いて世界3位になることが確実視されています。
勢いによってはすぐに中国の背中が見えるかもしれません。
中国の時代は終わり、次はインドが台頭してくるという未来が見えているのです。
そのために、インドが『グレートリセット』を望んでいるのもわからなくはありません。
一方、日本や米国、英国、さらにユーロ側がRVにおいて消極的なのは間違いありません。
すでに、自国の基軸通貨によって既得権益ができあがっているのですから当然と言えば当然です。
G7の集まりは、世界の基軸通貨を牛耳っている先進国の集まりとも言えるのです。
●通貨評価替えによって何が起こる?
通貨評価替えを行うことで、自国経済の健全性を内外の投資家にアピールすることができます。
また、輸出がメインの国では、自国の通貨価値が下がることで輸出がしやすくなる恩恵が期待できます。
通貨価値が上がれば、それとは違った結果になるので、輸出がメインの国では通貨価値が下がることを前提にRVを行うということです。
どこの国も自国の経済が優先ですから、自国の有利になることしかしません。
これはどの国でも一緒です。
そのため、利益になる不利になるといった権益の問題によって、RVが行われると紛争の火種になることも覚悟しなくてはならないのです。