通貨評価替えは新興国の通貨が対象…先進国は関係ない??
RV(通貨評価替え)について、一般の人にはわかりにくいのですが、通貨の価値を再評価し新たなレートで交換すること。
簡単に言えば以上のようなことになります。
通貨の安定した“円”を使っている日本人にはわかりにくい部分でしょう。
1万円札がある日突然紙切れ同然となり、新たなレートに再設定するというのはイメージもわかないことです。
そのため、一般的には新興国の通貨が対象といっていいでしょう。
例としてよくあがるのがアルゼンチンです。
かつての先進国であったアルゼンチン。
今では、国債デフォルトの常連国です。
常に通貨危機を迎えている国で、通貨の再設定も日常茶飯事の国と言えます。
●RV(通貨評価替え)の目的
RVの目的は、以下の通りです。
・通貨の価値を高める
インフレなどで紙幣が紙切れ同然となった場合、下落した通貨の価値を高めることで、経済を安定させます
・国際競争力を高める
通貨の価値を高めることで、輸出を促進。国際競争力を高めます。
ただし、通貨評価替えを行う際は、デフォルトの一歩手前という状況も考えられます。
そのため、輸出をしようにも返済能力を疑われるケースが多く、うまく輸出増進につながるケースは少ないのが実情と言えます。
・外国投資を促進する
通貨の価値を高めることで、外国投資を促進するといった外貨獲得の機運が高まります。
一方で、国際信用力が失墜しているので、まずは信用の回復が一番です。
通貨評価替えをすることは、痛み止めの効果はありますが、治癒する効果は弱いと言えます。
●RV(通貨評価替え)の手順
RVはどのような手順で進められるのでしょうか
以下にRVの手順を説明します。
①政府が新しい為替レートを発表
②旧通貨を回収
③新通貨を発行
以上の3つの手順になります。
RVを行う際は事前の準備を周到に行わなければいけません。
そして、実施する際には①②③については迅速な処理が求められます。
一般的にRVを行う際は混乱が起こるのは避けられません。
処置が長引けばさらなる混乱を招くことになります。
そのため、混乱を最小限に抑えるためにもRVは迅速かつ確実に行われなければなりません。
RVには新紙幣の発行がセットになるケースがほとんどです。
そのため、新紙幣の増刷ができる状態にならないとRVはできないということになります。
●RVのメリット
RVのメリットは、以下の通りです。
●●経済成長の促進
・輸出の増加
まずは輸出の増加です。
通貨価値の下落を抑え、逆に通貨価値を上げることで、結果的に輸出が増加することになります。
もっとも、その場合は通貨安となります。
・輸入の減少
RVによって輸出産業は潤いますが、反対に輸入品が高くなるので輸入は減少してしまいます。
ただし、これを機会に自国産業を育てることに注力できるメリットもあり、輸入の減少をデメリットに考える必要はないでしょう。
・外国投資の増加
通貨価値を下げ止めること、逆に価値を上げることで、外国投資家にとって自国への投資が魅力的になります。
海外からの外国投資が増え、国内産業に好結果をもたらします。
・国際競争力の向上
以上のことから、輸出企業の競争力の強化を進め、さらに通貨価値があがることで輸出企業の製品が世界で売れるようになります。
また、通貨安になることから海外からの観光客を呼ぶことができ、外貨の獲得に貢献します。
・インフレ抑制
RVによる最大のメリットはインフレを抑えることです。
もっとも、ハイパーインフレが普通のインフレになることで、痛みは伴いますが、徐々に進む経済回復を待たなければいけません。
現状より悪くなることは考えにくく、忍耐力が必要になるのは言うまでもありません。
その先には、国民の生活水準の向上が待っています。
国際のデフォルトや通貨危機など、一時的な経済の失速はまぬがれませんが、RVを行うことで確実に経済は好転します。長い時間はかかりますが、今日よりは明日は良くなるを信じて窮乏生活を続けることになります。
●RVによる注意点
確実に経済は良くなると言いましたが、RVは、必ず成功するというものではありません。
そのときの為政者の手腕にもよるのですが、以下の点に注意する必要があります。
それは、経済状況を注視することです。
経済状況が圧壊している場合、RVは特効薬になり得ません。
痛み止め程度にはなるので、すぐに状況が好転するわけではないということを国民全員が理解する必要があります。
また、経済と政情は二人三脚で進んでいくもので、経済は安定志向になっても政情が安定しないのでは、いつでも経済が悪化するリスクをはらんでいるといえます。
そのため、RVを行うには政治情勢が安定している必要があります。
RVはある意味、借金をチャラにするカンフル剤のようなものです。
一方で、財政赤字が膨らんでいる状態であれば、RVは財政負担を増加させる可能性があります。
この点には十分な注意が必要です。
RVは、経済成長と国際競争力を高める効果がある一方、リスクも伴うことは間違いありません。
そのため、RVを実施する前に、経済状況や政治情勢などを慎重に検討する必要があります。