インフレ時代の資産防衛、安全なポートフォリオの組み方
1. インフレとは?その影響と資産への影響

インフレは、貨幣の価値が下がり、物価が上昇する現象です。通常、インフレが進行すると、生活費が増加し、貯蓄の実質的な価値が目減りします。特に、金利が低い時期に現金で預金している場合、インフレ率がそれを上回ると、貯蓄は実質的に減少してしまいます。
例えば、インフレ率が年3%だとしましょう。この場合、1,000万円の預金をしていると、1年後にはその価値が970万円相当になる計算です。インフレが進む中で、現金だけに頼った資産運用はリスクが高く、資産の実質的な価値を守るためには他の手段を考えなければなりません。
2. 銀行破綻の事例:過去の事例から学ぶリスク管理

金融危機や経済不安定が生じた際、銀行破綻というリスクが現実のものとなります。特に、2008年のリーマンショック後には、多くの金融機関が経営危機に陥り、預金者は一時的に資産の引き出しを制限されるなどの影響を受けました。銀行破綻のリスクが現実化すると、預金者は資産を失う可能性があるだけでなく、金融システム全体に影響を与え、資産の流動性や信頼性が損なわれる可能性があります。
日本でも過去には、金融機関の破綻が発生しており、預金保険制度により一定額までは保証されているとはいえ、銀行に預けている全額が完全に安全であるわけではありません。したがって、銀行に預けっぱなしの状態で資産を持ち続けるのはリスクが大きいと言えるでしょう。
3. 金融危機のリスクヘッジ:多角的な資産運用がカギ

金融危機が発生した場合、どのようなリスクヘッジを講じるかが資産防衛において非常に重要です。ここで重要なのは「分散投資」です。分散投資とは、異なる種類の資産に投資することで、特定の市場やセクターのリスクを減らす手法です。インフレや金融危機が発生した際にも、リスクを抑えつつ安定したリターンを得るためには、資産を多角的に運用することが求められます。
(1)資産クラスの分散
資産運用においては、株式、債券、不動産、金など、異なる性質を持つ資産クラスに分散投資を行うことが基本です。特に金や不動産は、インフレの影響を受けにくく、実物資産として価値を持つため、インフレヘッジの手段として有効です。金は、経済不安定時に安全資産とされることが多く、不動産は賃貸収入などのキャッシュフローを確保しつつ、インフレに強い投資対象とされています。
(2)インフレ連動債への投資
インフレ時には、インフレ連動債(TIPS)といったインフレに連動する債券をポートフォリオに組み込むことで、実質的な購買力を守ることができます。これらは、インフレ率に応じて元本と利息が調整されるため、物価上昇が起きても、投資家の資産はインフレに対して保護されることになります。
(3)地域の分散
地域を分散して投資することも、リスクヘッジの一環として有効です。国内だけでなく、海外の安定した経済圏にも投資を行うことで、特定の国や地域の経済ショックに対する耐性を高めることができます。特に、アメリカや欧州、アジアの主要経済圏に分散することは、金融危機や政治的不安定に対するリスクを分散する方法として有効です。
4. 預金の安全対策:リスク管理の第一歩
インフレ時代において、預金の安全性を高めるためにはどのような対策を講じるべきでしょうか。以下に挙げる3つの対策が重要です。
(1)預金分散の実施
先に述べたように、複数の金融機関に預金を分散することで、銀行破綻リスクを回避することができます。特に、地方銀行や大手銀行のほかに、ネットバンキングや外資系銀行を活用することで、金融機関に依存しすぎず、万が一の破綻リスクを減らすことが可能です。
(2)預金保険制度の活用
日本では、預金保険制度によって1金融機関あたり1,000万円までの元本が保証されています。この制度を理解し、1つの銀行に預ける金額が1,000万円を超えないように分散することで、保障を最大限に活用できます。特に、数千万円規模の預金を持つ方は、複数の金融機関に分けることが賢明です。
(3)資産保護のための金投資
金は、インフレや金融危機の際に価値を保つ傾向があり、実物資産としても強い安全資産です。金の購入を通じて、現金資産の一部を実物資産に変換することが可能です。また、金は通貨の発行に依存しないため、銀行システムが不安定になった場合でも価値を保ちやすい特徴があります。
5. 安全なポートフォリオを組むために

インフレ時代の資産防衛には、安全なポートフォリオの作成が欠かせません。分散投資を行い、複数の資産クラスを組み合わせることで、リスクを分散し、安定したリターンを得ることが可能です。特に、金や不動産、インフレ連動債など、インフレや金融危機に強い資産を組み込むことで、資産の価値を守りやすくなります。
また、銀行破綻リスクを避けるために、預金を分散し、預金保険制度を最大限に活用することが重要です。金投資や外貨資産の保有も、資産防衛の一環として有効です。
インフレや金融危機のリスクに備え、定期的なポートフォリオの見直しとリバランスを行い、柔軟に対応することで、長期的な資産防衛が可能となります。自分のリスク許容度やライフスタイルに合わせて、安全なポートフォリオを組み、経済の不安定な時期でも資産を守りながら増やしていきましょう。
(あくまで個人の見解ですので、情報の活用や真偽については自己判断でお願いします)
注
1)資産防衛NOTE ~人道支援への道~ さんから許可をもらって投稿しています。